乾井の中の蛙、大海を知らんとす

色々と、のんびりと。

推しと一緒にライブをした話【前編】


乾井です。

 

突然ですが、私には「推し」がいます。

 

大学1年生の時に知り合った友人のことなんですが、趣味嗜好はカテゴリこそ似通っているものの具体的な部分で絶妙に噛み合わず、嘘をつくのがヘタな私と対照的に秘密主義者でリアリスト、冷静に考えれば全くソリの合わない人物なんですが、なぜか今までつるみ続けられているのはもはや奇跡としか思えません。

 

そんな彼がただの友人に留まらず私の「推し」たる所以は、何と言ってもその声の良さと歌の上手さです。

 

学生の頃、多いときは週3くらいで一緒にカラオケに行っていました。我々が来店すると受付の方も「またお前らか」みたいな顔をする(してない)くらいには、学校近くのカラオケの常連客でした。

 

私は元々自他ともに認めるオンチで、中学校の合唱コンクールが苦痛で仕方なかったタイプの人間です。それでも歌うことは好きだったし、何より声がデカいのでコンクールではクラスメイトに多大なる迷惑をかけていました。お前もうひな壇降りろ。

 

そんな私だからこそ、歌が上手くなりたいという気持ちは人一倍強かった。昔から音楽を聴くことが大好きだったし、自分という人間を形成する要素として大きな割合を占める大好きな歌たちを歌いこなせるようになりたかったというのもあります。

 

そんな時に出会ったのが、件の彼でした。

 

話が逸れるので詳細は書きませんが、私が学生の頃所属していた部活動はかなり特殊な団体で、そこに集まる部員たちもまたクセモノ揃い。初めて一緒に行ったカラオケで矢島美容室やらDJ OZMAやら90年代のGLAYやら歌い始めた時の衝撃といったらないです。彼は平成の申し子みたいな人間でした。

 

平成という時代を愛しているという点では、私も人のことを言えた義理ではありません。

自分の親世代が「昭和はいい時代だった」と懐古するのを冷めた目で見ていた自分が、令和になって4年が経った今「平成はいい時代だった」と心から感じるようになっています。J-POP、アニソン、ボカロ、あらゆるジャンルで平成のテイストを感じる作品に触れるとどうしようもないノスタルジーを覚えます。

 

私と彼の共通点はまさにここ。アニソン、ボカロなど「趣味嗜好のカテゴリが似通っている」のです。しかし、ボカロやポケモンGLAYといった息の長いコンテンツやバンドは微妙に好きな時代が違ったり、アニソンやJ-POPにしても触れてきた作品の違いで「名前は知ってる!」みたいな事件が多発し、互いに知っている曲で一緒に盛り上がったりデュエットソングを一緒に歌ったりといったことがまあできなかった。だからこそ、一緒にカラオケに行ったら互いが互いの好きな歌を好きなように歌い、それに耳を傾けたり傾けなかったりするという絶妙な距離感で過ごしてきました。

 

そうは言いつつ、週3回もカラオケに通い詰めれば、お互いの趣味の中で「おっ、これはいいな」と思う曲も当然出てくるわけです。

私が記憶している限り最初の「おっ」は、彼の歌う『夕立のりぼん』だった気がします。『いーあるふぁんくらぶ』『ロキ』『少女レイ』なんかで知られるボカロP、みきとPの曲で、爽やかなギターリフが耳に残るセツナ系ロックナンバー。元々は女性キーで歌われている淡い青春のラブソングですが、男声の低音で歌われると色っぽさが加わって違った魅力が見えてくる、そんな曲です。

 

夕立のりぼん feat.MAYU

夕立のりぼん feat.MAYU

  • みきとP
  • アニメ
  • ¥255

 

彼の影響で『夕立のりぼん』にどハマりし、自分でも大好きな曲になってしまった私。逆に私がよく歌う曲の中で彼の琴線に触れた曲もそれなりにあるようでした。

その中で(たぶん)1番大きかったのがamazarashiの『ヨクト』。それまでamazarashiに全然興味のなかった彼が、『隅田川』や『空っぽの空に潰される』が好きだと言ってきたときはけっこう驚きました。

 

ヨクト

ヨクト

  • amazarashi
  • ロック
  • ¥255

 

そんなこんなでお互いの趣味嗜好に影響を与えつつ、私は彼の歌の上手さに憧れ、追い付きたいと思いながら友人付き合いを続けて長いこと経ったこの夏、久し振りに彼とカラオケに行ったとき、私はある提案をしました。

 

“互いに歌って欲しい曲を10曲くらい挙げて、セットリストを作ってライブみたいなことをしよう“

 

元はと言えば、私が8月に東京に行って頑張らねばならないイベントがあり、それに檄を飛ばしてもらいたいという思い付きでした。「推し」の歌を聴いて送り出してもらえればより頑張れる気がするから、と。

 

その場の思い付きの無茶振りでしたが、自称ノリと勢いだけで生きている人間の彼は快諾してくれ、私が投げる曲をひたすらに歌いまくってくれました。あの日の歌声は本当に忘れられない。最高の1時間でした。

 

ちなみにその時のセトリがこれ。順番としてはレディメイドから上に向かって進んでいく感じ。


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この時は歌ってもらいながら「次はこれ、次はこれ」と即興で組み立てていく感じだったので、ジャンルがボカロ(あるいはボカロPが所属しているバンド、楽曲提供しているシンガー)に偏ってしまいましたが、バラードやミドルナンバーから徐々にテンションを上げていき、テオで最高潮に達してから1度流れを切ってアンコールのイメージでラスト2曲を歌ってもらいました。ジャンルを固定することでむしろ1人のアーティストがカバーライブを行っている、というイメージにもなるので我ながらいいセトリだったと思います。

 

彼のライブが終わったあと、「結構楽しかったから今度は自分がセトリ考えてそっちに投げてもいい?」と彼からの提案。私は自分の歌に自信がないので少し怯みましたが、数年間、彼の背中を追って色んな歌を練習した成果を発揮するなら今しかないと思い、「やろう!」と返事をしました。今度は事前にセトリを用意し、私の知らない曲も入れてより本当のライブに近い形でやろうという話でまとまりました。

 

これが今年の8月頃のお話。その後互いに忙しくなってしまい、実際に挙行できたのはつい1週間ほど前です。

そのリストの公開と、実際に歌ってみてどうだったかという話は次回のブログのネタに温存しようと思います。

 

ではまた。