2023.11.25 amazarashi Live Tour 2023「永遠市」@東京ガーデンシアター
こんにちは、乾井です。
11月25日、amazarashiのライブツアー『永遠市』の東京公演に参加してきました。
例によってその感想をつらつらと書き連ねていく回です。
今回はかなり後の方の日程での参加だったので、あまり詳細には書かず
簡潔に記していきたいなと思ってます。思ってるだけです。
たぶんクソ長記事になります。はい。
以下ネタバレのオンパレードです。
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セトリ
1.俯きヶ丘
2.インヒューマンエンパシー
3.下を向いて歩こう
4.ディザスター
5.14歳
6.無題
7.つじつま合わせに生まれた僕等(2017)
8.スワイプ
9.君はまだ夏を知らない
10.月曜日
11.海洋生命
12.超新星
13.自由に向かって逃げろ
14.空に歌えば
15.美しき思い出
16.ごめんねオデッセイ
17.アンチノミー
多い!!!!!!
はい。何かライブに行く度に曲数増えてる気がします。
いつかも言いましたけど、キーが高くてハイカロリーなamazarashiの曲をほぼノンストップでこれだけの数歌いきる秋田ひろむの喉は本当にどうなっているんでしょう。やばずぎる。
前回の無人で披露された『カシオピア係留所』と『クレプトマニア』『まっさら』の3曲がセトリ落ち。
個人的な感想ですが、今作(アルバム『永遠市』)はボイコットの『未来になれなかったあの夜に』、七ロスの『1.0』みたいなインパクトのあるキラーチューンがなく全曲が割と平坦であるという印象を抱いていたのに加えて、『クレプトマニア』に関しては代わりに(?)恐らく今後そうそうライブで聴ける機会は得られないであろう『海洋生命』が聴けたのでここに関してはあまり不満はないです。
それよりも何よりも、前回の騒々しい無人がアコースティックということもあってかなり外向きというか、メッセージに寄ったセトリだったのと対照的に、「ロックバンド」として「音楽」を聴かせることを重視したようなセトリだなと感じました。
無人の時は秋田ひろむの言葉や声がぐさぐさ突き刺さって終始号泣していましたが、今回は純粋に音楽ライブとして楽しい、体を動かしたくなるようなセトリでした。ていうか何ならめちゃくちゃ動いてた。隣の人、迷惑だったら本当にごめんなさい。
あとはそうだな、アルバム全体が平坦な印象を抱いていたと言いましたが、過去作を含めたこのライブのセトリと曲順をもって『永遠市』という一つの作品が完成したんだな、とも感じました。
”「どうせ僕なんか」が武器になった その方法は過去作にある”
『下を向いて歩こう』のこの歌詞をまさに体現しているようなセトリだったと思います。終盤のⅯⅭでも言っていましたが、タイアップや色んな要因があってのこととは思いますがかなり余所行きというか、秋田さん自身の言葉を借りるなら”格好つけていた”曲が多かったように思えていたところで、原点回帰とでもいうべきか、秋田ひろむ自身の生活や感情を色濃く反映した新旧の楽曲たちがとても良いバランスで選ばれていて、互いに関わり合いながらライブという一つの作品を紡いでいく、そんな風に感じて私はとても好きなセトリです。
諸々のアレンジや久々の(ロック)バンド編成でのライブということなど全部ひっくるめて、ロックバンドとしてのamazarashiの魅力を強く感じました。楽しい、格好いい、やっぱamazarashi大好き!!! そんな感じです。
以下、各曲のもう少し詳細な感想を綴っていきます。
開演前~俯きヶ丘
開演30分ほど前に入場し、待機をしていました。
ボイコットやロスボでは紗幕演出があったので今回も何かしらあるのかなあと紗幕を眺めていましたが、10分前、5分前、3分前と時間が過ぎても映像が始まる兆しはなく。BGM(? リハというか、楽器の生音だったかも、記憶が曖昧)だけが流れていたところで暗転し、『俯きヶ丘』のイントロが始まりました。
アルバムの曲順は久々のポエトリー始まりではなかったのでセトリがどうなるんだろうと思っていたけどここは変わらないんだなあ、なんて考えていましたが……。
秋田さんの声の出と音響が最高で、心臓に直で響いてくるようなバンドの迫力に一発でテンションがぶち上がりました。これよこれ、amazarashiのライブの醍醐味は!
アコースティックのしっとり感もいいけど、この音圧でぶん殴ってくる感じ、たまらん!ってところでいつもの「青森から来ました」の口上、そして拍手。これを味わえるからライブは好きです。
インヒューマンエンパシー~下を向いて歩こう
てるてる坊主がガラスに頭突きをしまくる軽くホラーな紗幕映像と、『俯きヶ丘』から引き続いて絶好調な秋田ボイスを爆音で浴びていました。強いて言えばエコーのせいで若干低音が聴きとりづらかった気がするけど、そんなの言い出したらキリがないし、そもそもケチをつけるようなレベルのものでもありませんでした。
個人的な話ですが、”この世の余所者として”って感覚、とても共感できると思ったきっかけがあって、『とどめを刺して』や『火種』に比べてかなり思い入れの深い曲になっていたので、私の心を掴むにはこれ以上ない始まりでした。
インヒューマンのアウトロ、掻き回しからシームレスに『下を向いて歩こう』へ。
アルバムで聴いた時点から想像がついていた流れではあったし、演奏も歌唱も何にもケチをつけるようなところがなかったので単純に聴いていて楽しかったです。
”やり残しや言い残しはない それでようやくイントロ部分”
って歌詞、改めて聴くと凄いセンスですよね。
これだけ成長したamazarashiが、秋田ひろむの内面という原点に立ち戻ってまたイントロから始まるんだ、という覚悟のようなものを感じさせるフレーズだと思いました。
ディザスター
……いやもう来るの!!?!?
例によって歌詞を引用した前口上(今回は”名シーンだけの人生じゃいられない”)で察していましたが、アルバムの曲順的にも終盤での拾うだろうと思っていたこの曲がこんな序盤で聴けるとは思っていませんでした。
2番の密度高めな歌詞とメロディ、そしてサビ前の”作家なんているもんか”の休符からのドラムのリズム、大好きです。
14歳~つじつま
このゾーンに関しては、先程から再三使っている「原点回帰」という言葉が、私にも突き刺さってくるような感覚を覚えました。
というのも、長いことファンをやっているとどうしても新作ばかりを追いかけてしまうマインドになりがちだと思うんです。当然と言えば当然なんですが、そのアーティストにハマり始めた頃は未知の過去作がたくさんあって、その中に自分の琴線に触れる作品を見つけてはもっと好きになっていく。そして過去作をあらかたディグり終えると、今度はとにかく新作が待ち遠しくて仕方がなくなる。
私にとってamazarashiはちょうどそんな時期でした。よっぽど気に入った数曲以外、触れる(聴いたりカラオケで歌ったりする)機会が極端に減って、新作にばかり意識が向いてしまう。けれどamazarashiはそこまで高頻度で作品を発表するバンドでもないので、言葉を選ばずに言えば若干熱が冷めかけているような気さえしていたんです。
そんなところに襲ってきたこの過去作ゾーン。
14歳はちょうど昨日、故あって聴いていた曲だったし、無題やつじつまはカラオケでものすごい頻度で歌っていた時期があったり、5~6年前、amazarashiを好きになり始めた時期によく聴いていたりしていた思い出深い曲たちでした。
そんな曲たちを今回生で聴いて、改めていい曲だな、と。こんな素晴らしい曲の魅力をすっかり忘れていた自分が何だか恥ずかしくなりました。初心忘るべからずというのも変ですが、何かのコンテンツのファンであるということに関しての振る舞い方のようなものを学べたような気がします。
パフォーマンスに関しては、無題のラスサビ、”信じてたこと”の”しん”が裏返っていたことと、つじつまのサビ終わり”僕等”の高音の安定感がえぐかったのがとても心に残っています。あとは、つじつまの紗幕で、”僕”という字だけをアップで映してフォントを高速で変えることで複数人を表現するのがとても巧みだなあと感じました。今回のライブは紗幕の出来がすごくよかった。
スワイプ
曲自体が癖が強くて格好いい、大好きな作品。
無人の時に「これを超えるパフォーマンスができるのか……?」なんて言いましたが、あの時に負けず劣らず格好良かったです。アコースティックもロックバンドも、両方に違ったよさがあるなあと思いました。
配信初日に聴いた時、社会風刺に初期ざらしっぽさを強く感じ、『デスゲーム』なんかと親和性が高そうだなあ、なんて思っていましたが、つじつまからの流れも自然でとてもいいものでしたね。
この曲はぜひライブの定番曲になってほしい。……無理か。尖りすぎてるもんな。
”今日をスワイプ”を観客全員でシンガロングできる日をいつまでも夢見ていますよ。
君はまだ夏を知らない~月曜日
スワイプでマックスを突き抜けたテンションを落ち着けるような君夏。いい感じのクールダウンになりました。
音源で聴いてた分にはあまり刺さらなかったんですが、いい曲ですねこれ。自身のお子さんに向けたメッセージソングという解釈も好きですが、私はあくまで『そういう人になりたいぜ』系のラブソングだと思っています。出会ってから7年目の愛する人に対する愛。
月曜日も例によって久々に聴きました。私は地元が北海道なのですが、小樽や函館といった港町はどこか青森に通ずるところがあると思っていて、だからこそ秋田さんの歌う青森の風景や閉塞感には共感できる部分が多くあります。
多くの人が同じことを言うとは思いますが、”それが君で おそらく僕で”の人間らしい等身大の臆病さが好きです。
海洋生命
今回のセトリで一番度肝を抜かれた選曲。
個人的に『アンチノミー』があまり刺さらなかったこともあって聴いた回数自体がそこまで多くなく、”サビですごい歌い方してるなあ”くらいの印象しかなかったこの曲ですが、こんなにもライブで映える曲だったとは。マジで格好良かった。みら夜ツアーの『アイザック』枠? これがカップリングなのもったいないよ本当に。
”悪心の水槽”の”あ”の発音に、名状しがたいロックみを感じました。もう1回聴きたい、円盤化はよ。
超新星
アルバムの中で私が一番好きな曲。HIPHOPをルーツに持ち、その中でも変わったジャンルであるポエトリーリーディングを武器に戦ってきたamazarashiが満を持して発表した”ラップ”の楽曲(と、少なくとも私は思っている)。韻の踏み方とか曲の構成とか、いろんな意味でこれまでのamazarashiの集大成であると同時に新天地でもあるような不思議な魅力に満ちた楽曲で、(ライブとアルバムをひっくるめた)”『永遠市』という作品”の核を担う重要な立ち位置だと私は考えています。
音源で聴いていたときから大好きだったラップパートの低音や、”付き纏い/月纏い”の言葉遊び、”1小節で世界凍り付かせたい”の歌い方とか、それらすべてを生で浴びられたことが幸せすぎる時間だった。
1番サビの”眩しく輝いて”を”目が眩む残像を”って綺麗に歌い間違えてた。その時ちょうど紗幕を見てて、「眩」って字が共通してるから一瞬脳みそがバグりかけたけど、あれは間違いなくミスだった。個人的には感情の昂りや緊張に起因する歌い間違いや声の裏返りなんかはライブの醍醐味だと思っているので、めちゃくちゃテンションが上がりました。今回の公演を通じてさらに思い入れの深まった曲です。